AIT work abroad
#006 アメリカ・ロサンゼルス
Ms.Akiko Tahara
Taka Hair Salon
田原明子さん


田原明子さん
日本で美容の専門学校を卒業した後、東京は自由が丘にて5年程美容師と して働いた後、更なる飛躍をするべく、94年にロサンゼルスに渡る。高級住宅街Brentwoodのサロンで働いた後、現在ウエストLAにあるT AKA Hair Salonにてオープン当時から働いている。現在、在籍11年目。

 
日本でも美容師の経験がある田原さんですが、アメリカに来たキッカケを教えて下さい。また、どうして海外を意識するようになったのかも教えて下さい。
21歳の時に、日本からの美容研修ツアーでイギリスのビダルサスーンに三ヶ月間短期留学したんです。プログラム自体はとても良いものであったけれど通訳付きの授業でも上手く質問出来なかったり、全てを理解することができなかったので、とても悔しく思い、この頃から英語の勉強をし始めました。英会話教室に通ったりして準備をしていました。 それでもやはり、渡米直前は全て英語の生活になるということで、全てが不安でした。ビザのこととかはもちろん、ちゃんと生活していけるんだろうか、もし何かがあったら‥…といつも心配でした。 短期留学したイギリスや美容系やファッションが強いヨーロッパでは無くてロサンゼルスにしたのは、既に知り合いが住んでいたので心強いと思い、こちらにしました。

渡米してからすぐに働き始めたんですか?
いえ、最初はLAにあるヤマノビューティーカレッジ(日本美容界のパイオニア・故山野愛子さんが昭和36年に開設して校長を努めた伝統ある美容学校。彼女はアメリカに着物文化を普及をし始めた第一人者。現在は彼女の孫娘に当たる山野愛子ジェーンさんが校長を務めている)に通っていました。 結婚をし、生活も落ち着いた頃、ブレントウッドにあるアメリカ系のサロンで働き始めました。後に現在働いているTAKA Hair Salonにて従事しています。オープン当時から居るので、もう11年になりました。時間が経つのは本当に早いですね!

日本でのサロンとアメリカでのサロンの両方で働かれた経験をお持ちの田原さんですが、日本とアメリカでの働き方の違いなどはどう感じましたか?
これは文化の違いを表すものでもあると思うのですが、日本は自分はお店の歯車の一部であって、常に店全体のことを考えて仕事をする。でもアメリカはもっと個人がどれだけ出来るかが大切なこと。実力主義だし基本的にコミッション制(出来高制)なので自分が頑張れば頑張る程、収入も上がるので、みんなとっても頑張っています。それにアメリカではチップもあるので技術はもちろん、お客さんとのコミュニケーションも上手に取っていってお客さんに素敵な時間を提供してあげることで収入も上がります。なので、とてもやりがいがあります。

自分が頑張った分が数字となって、お金となって返って来るのは嬉しいですよね。自分の成長も見られるし、働きがいがありますね。 美容関係に疎い私なのですが、ライセンス(免許)などは日本のものは使えるのですか?また技術面では日本とアメリカではどう違いますか?
日本ではライセンスが無くてもインターン・見習いとしてお客さんに触る事が出来ます。日本では経験が無いとプロとして見なされないので、経験が無い人はお客さんに触りながら覚えて行きます。でもアメリカではライセンスがプロとしての証明となるので、下手であってもライセンスさえ取れてしまえばプロとして見なされるのです。だから技術が伴わなくても責任は任されます。その分経験が少ないライセンス取り立ての人でもプロ意識を持って働いています。
そうなんですか!だから日本にいた時に若い人が先輩美容師さんと一緒に私の髪の毛を試行錯誤して切ったりパーマかけたりして微妙な感じになったりしたんですね‥…。お金を出している方としては複雑ですが、体で体験して覚えるのが大事なんでしょうね。でもアメリカのようにライセンスさえあれば、というのもお客で行く方としてはちょっと怖いです‥…。でも、意識の部分で少し違うのでしょうか‥…。
あと、技術の面ではアメリカでは色々な人種の人が居て皆それぞれ違った髪質を持っているので人種、髪質に合わせた施術を施します。それに、流行も違いますし、ここロサンゼルスでは特に日差しが強かったり、水も違うので、柔軟にお客様の求めるものを提供していく必要があります。また、アメリカでは元々くせ毛の人が多いからかカラーが主でパーマはする人がほとんど居ません。
アメリカのヘアサロンで働くに当たって、就職活動はどのように行ったのですか?
日系・アメリカ系両方の求人広告などを見て探しました。

最初はアメリカ人のみが働いていてお客さんもほとんどアメリカ人ばかりのBrentwoodにあるサロンで働いていたようですが、その時に苦労したことは何ですか?
アメリカではいつも物事をハッキリと言わなければいけない所。良い事も悪い事も自分の意見をクリアにして英語で相手に伝える事はとても大変なことでした。とても勇気のいることだし、日本のように"言わなくても分かる""多くを語らないことを良しとする"ような考え方が無いので、最初はとても難しかったです。
そうですね。アメリカは自分の意見を持って主張するのが大事とされる国ですものね。では、アメリカで働くにはどういったマインドやスキルが必要だと思いますか?
アメリカで外国人が生きていくのは大変ですからね。やっぱり、どんな時も諦めず、物事全てを良い方向に考えられることでは無いでしょうか?
精神面の他に、英語のことなどで苦労したことは何ですか?
あと、仕事では、時計の読み方が分からなくて困りました。"何時何分"というのではなくて、"quarter to 10(10時まであと15分/10時15分前)"とか"10 to 2(2時まであと10分/2時10分前)"とかそういう言い回しが理解出来なくて大変でした。それに、お客様の名前のスペルが分からなくて、予約を入れる時とか大変でした。よく同僚にバカにされたり、あなた大丈夫?と聞かれたりしました。

私も最初は苦労しました(苦笑)。アメリカ人にとっては子供でも分かる簡単なことでも、外国人には理解するのは難しいですよね。それを笑われるのって、とっても悔しい気持ちがよく分かります!

さて、現在働かれているTAKA Hair Salonではオープン当時から働かれているそうですが、元々オーナーの玉田なお子さんとお知り合いだったのですか?
いえ、なお子さんとは面識はありませんでした。でも、彼女と会ってとっても素敵な方だったのでここに決めました。自分が会社又はお店を好きだと感じられること、そして、その会社、お店の方針が自分のやりたい事と合っているかどうかという事は就職探しをするときに重要なポイントとなると思います。それらを感じられたので、私はTAKAで働く事を選びましたし、11年も働き続けているのです。
やっぱり上司に惹かれるものがあると働きたくなりますよね!それに、いくら人気のあるお店でも働いている人や全体の雰囲気が悪かったら気持ちよく働けないですよね。

では、日本にいる、アメリカ就職を目指している人たちへのアドバイスを頂けますか?
まず、自分一人で色々な事が出来るようにならないと仕事どころか生活もちゃんと出来ませんね。それからアメリカはチャンスが溢れているようなイメージがあるんでしょうけど、それでもやっぱり待っているだけじゃいつまでも何もやって来ない。だから自分からどんどん進んで行ける行動力を持っていること。それから、他民族国家のアメリカに住んで仕事をしていく決意をしたならば、価値観の違いにぶつかっても、そういう違いを受け入れて耳を傾けられる器を持てることが大事だと思います。

あと、現実的にビザやお金の事もよく考えて調べて準備しておかないと後で大変な目に遭います。特に最近は移民法が厳しくなっていますので、注意しないと、後にアメリカ、下手したら他の国へも入国出来なくなったりしてしまいます。ビザが無いと合法的に働けないし、生活していくのも肩身の狭い物になってしまいます。

そうですよね。年々厳しくなっているししょっちゅう法律が変わるので、自分で弁護士に聞くとか移民局のHPをチェックするなどして調べないと後で困るのは自分ですよね。では、渡米前にはどのくらい資金を持っていたのですか?
100万円くらいですね。でも当時は17年くらい前でロサンゼルスでも物価は今よりもずっと安かったし、日本がバブルの頃で景気も良かったので、何とかなりました。でも、今だったら100万円では全然足りませんよ!なので、こちらに住んで仕事をしていくことを考えているなら、こっちで稼げる見込みのお金、住む所の費用、車、その他の生活費など、全てを考えないと行けませんね。それに、来てすぐに仕事が見つかるかも分からないし、思っていた程稼げるかも分からないのでちゃんと計画をしてまとまったお金を持っていないと後で大変です。いつ事故にあったり病気するか分からないですしね。
私は最初は学生として来たので仕送り生活でしたけど、それでも事故に遭ったり病気になったりと大変なことも沢山あったり、思わぬ出費も沢山ありました。ですから、仕事で来られて自分のみしか頼る人が居ない人なら尚更でしょうね。経済的に自立していないと何も出来ませんものね。

では、そんな厳しい世界の中で長い間生活している田原さんですが、休日などは何をしているんですか?
家族で映画を観に行ったりビーチでローラーブレードをしたりと、家族でゆっくり過ごしています。 なので、将来はハワイにも家を買って、春は日本、夏はLA、そして冬はハワイで家族で過ごせるようになりたいと思ってます。



インタビューアの感想
とっても家族想いで優しい、女性らしい雰囲気の田原さん。とてもお子さんがいるようには見えない程若々しくてイキイキしていて素敵な女性でした。田原さんがお客さんの髪の毛を切っている姿はとても楽しそうで幸せな笑顔が溢れていました。お客さんもとっても気に入っているようで私に自慢気に話し掛けて来ました。今、こうやって田原さんがキラキラ働いているのは、沢山の辛かった事を乗り越えて日々強くなって行ったからなのでしょう。田原さんはただお客さんの髪の毛を切ったりスタイリングするだけでは無くて、お客さんに元気も与えて新しい素敵なヘアスタイルを作って優しいオーラで包んでくれます!

Interviewer: 西川あゆ(Ayu Nishikawa)